「看護専門外来」が持つ役割とは

高度化する医療を支える看護専門外来

現在の日本は超高齢化社会です。予想を上回る高齢者の増加に入院ベッドや対応する医師・看護師の不足が大きな問題となっていますが、この問題を解決する方法として「看護専門外来」に大きな関心が寄せられています。
看護専門外来とは、退院後の在宅療養を支援することを目的に各分野の専門的な知識を持つ看護師が患者さんやそのご家族の相談に応じて、適切なケアを指導するところです。在宅での療養を促すことによって病院はベッドの数を確保できますし、患者さんやご家族は退院後もしっかりとケアが受けられるとあって、看護専門外来を設ける病院が増えています。

看護師に求められているスキルとは？

看護専門外来で働く看護師には医療処置に関する専門知識やスキルが求められていますが、他にも患者さんの病態や治療方針、治療内容などを総合的に判断して管理する洞察力や、ご家族や医療チームのスタッフに詳細を間違いなく伝達するコミュニケーション能力も必要です。緊急を要する救急外来は迅速に治療するために必要な情報を積極的に提供してくれますが、看護専門外来はそうではありません。症状が落ち着いている患者さんの場合、快復したと感じる人も多いため「体調はどうですか？」と確認するだけで気分を害してしまうこともあります。また、退院後の様子は病院に来院したときにしか推察できません。さりげないやり取りの中で本音を聞き出し、安心して療養に向き合えるように配慮するためには患者さんとのコミュニケーションが欠かせないのです。しかし、コミュニケーションスキルはすぐに身につくものではないため、経験が豊富でキャリアのある看護師が看護専門外来に配置されることが多いようです。
これまでの看護師の役割は医師のサポートが中心でしたが、看護専門外来の看護師は患者さんと接する機会も多いことから「在宅医療を円滑にするプロフェッショナル」という役割を持つものとして注目を集めています。

看護専門外来で働くために

今後ますます需要が高くなると予想されている看護専門外来ですが、従事するためには看護師としてスキルアップすることが必要不可欠です。看護師のステップアップにもなる「認定看護師」と「専門看護師」の資格を取得することをおすすめします。どちらも日本看護協会が設定した資格ですが、認定看護師は特定の看護分野において熟練した看護スキルと知識を有する看護師に与えられる資格で、専門看護師は特定の専門看護分野において卓越した看護実践能力を有する看護師に与えられる資格です。
看護専門外来は看護師として高いスキルが要求されます。資格の取得だけでなく意識的に自己学習を積み重ねていくことも大切です。